今月の Software Design : 2013/03 (その4)

 「今月の Software Design 」の3月号の4回目の投稿です。

 今回は「SSD ストレージ爆発的普及の理由」、「社内 LAN 撲滅運動」、「IPv6 化の未知も一歩から」と「ハイパーバイザの作り方」の記事の要約と感想を書きます。

 フォーマットは各記事、以下の通りになります。

 

・記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

SSD ストレージ爆発的普及の理由

 SSD などフラッシュメモリを利用したストレージの費用や性能についての解説記事になります。まず、エンタープライズ HDD とコンシューマ SSD における GB の単位記憶容量当たりの値段が逆転した事とランダムライトのアクセス性能の比較から、今後 SSD の利用がますます高まってゆくと予測しています。また、SSD 以外のフラッシュメモリストレージとして、SSC (Solid State Card) と呼ばれる PCIe インターフェイスを通してアクセスされるフラッシュストレージや SSD Appliance と呼ばれる機器についての紹介と実測性能について示しています。

 記事で書かれている SSD の性能限界というのは、ATA プロトコルの変換処理を行うファームウェアによるボトルネックの事ですね。ATA プロトコルは、C/H/S (セクタ/ヘッダ/シリンダ) や LBA によって、HDD の各セクタに格納されているデータを読み書きするプロトコルですが、これは HDD に最適化されたプロトコルでフラッシュメモリの構造やアクセスには適していません。そのため、フラッシュメモリへのアクセスを変換する処理をデバイス側で変換しているのですが、高負荷時にはここがボトルネックになると言われています。

 こうした過去の互換なんか捨て去り、CPU から直接フラッシュメモリを触れるようにしたデバイス (RAW Flash) が注目されています。FusionIO に代表される SSC のほとんどは RAW Flash ストレージで、性能は既に折り紙つきです。また先々月の SD で紹介された F2FS など、RAW Flash ストレージに特化したファイルシステムなどシステムソフトウェアの面でも充実してきており、これらの利用は今後高まってくると思います。

 ただ高いです、とっても高いです。FusionIO などの SSC は桁が 1 個違います。SSD Appliance に至っては桁が更に 3 個上がってきます。個人で使って遊ぶにはまだ高いです。

 

 

・社内 LAN 撲滅運動

 社内のシステムのほぼ全てをクラウドサービスに移行して、それでいて ISMS 取ったよという記事。どういった業務システムをどのサービスを使ってクラウド化したかという事例の紹介と、コスト低減とエンジニアのヤル気を勃興させる策としての BYOD の取り組みについて紹介しています。

 中小 IT 企業の経営者が喜びそうな記事です。業務効率・士気・ヤル気を下げる象徴として名高い ISMS ですが、その実これが何なのかを把握している人は多くはないんじゃないでしょうか(私もよく知りません)。どうやら「社内セキュリティやらコンプライアンス云々とかに表向き力を入れてますよー」というアピールをしている組織に対して、お墨付きを与える 行政機関の認定証のこと みたいです。ISMS なんかよりも遥かに厳しい監査が入る上場企業において、次々と情報漏洩が起きる昨今において、営業トークに色を付けるためかどうか知りませんが、こんなくだらない認定を受ける企業の気が知れないぜ(( ゚д゚)、ペッ)。とか思っていましたが、サーバーワークスさんの BYOD 取り組みは、その点うまくフォローされているみたいです。

 これだけ読むとサーバーワークスという会社は良さそうな会社です。アリエル・ネットワーク CTO の井上さんから「洗脳されやすい」の称号をありがたく頂戴した私は、会社 HP と社長のブログをざっと見て、早くもこの会社に興味を持ちました。

 

 

IPv6 化の未知も一歩から

 IPv6 プロトコルと IPv6 関連の国内での最新動向についてまとめています。まず IPv6 のプロトコル策定の経緯と、プロトコルをより詳しく知るためのドキュメント等の紹介、そして IPv6 アドレスの管理運営体制についての紹介をしています。後半では IPv6 関連の最新動向として、昨年 11 月に開催された Internet Week 2012 について紹介しています。

 IP Meeting 行きたかった・・・。パスまで取得したのに、やむを得ない事情(研究室召喚)で行けませんでした。

 

 

・ハイパーバイザの作り方

 今回は BSD のハイパーバイザ BHyVe についての紹介をしています。BHyVe は現在 BSD コミュニティで開発されているハイパーバイザで、KVM と比較するとまだ実装が初期段階で機能的な面では制限が多いですが、初期段階ゆえに実装が非常にコンパクトで、コードの見通しが非常に良いというのが特徴みたいです。今回は BHyVe の紹介と、ソフトウェアアーキテクチャの概要、及び使い方について紹介しています。

 どういうわけか、最近の SD は随分と BSD を推します。記事では、BHyVe では X が使えなかったり、ATA や e1000 のデバイスドライバが無かったりと制限がある反面、コード量がコンパクトだと言っています。しかしソースコードをダウンロードしてみると、結構な量があります。C のソースコード (*.c) とヘッダーファイル (*.h) 、あとアセンブラファイル (*.s) の合計を計ってみると、なんと 1,200 万行以上あります。もちろんライブラリなんかも含まれちゃってますが、それにしてもデカイです。

 筑波大などが作ったハイパーバイザの実装 BitVisor では、現時点での最新版 (version 1.3) において、全て込みの同じ条件で検索しても 50 万行程度です。コア部分に至っては 4 万行程度と、コード行数だけで比較するとこっちの方がずっとシンプルです。