今月の Software Design : 2013/03 (その3)

 「今月の Software Design 」の3月号の3回目の投稿です。

 今回は第一特集「もっとクラウドを活用してみませんか?」の後半の章と、第二特集の「実践!ワイヤリングの教科書」の要約と感想になります。

 フォーマットは各記事、以下の通りになります。

 

・記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

・第一特集④:マルチクラウド管理ツール『Scaler』入門

 タイトル通り Scaler についての紹介をしています。まず、現在市中には様々な IaaS クラウドサービスがあり、また OpenStack や CloudStack なんかを使ってプライベートクラウドを簡単に構築できるので、こいつらを統一的に扱えるソフトウェアがあったら便利だよね、という背景説明から入り、Scaler 社が提供する Hosted Scaler を使って、Scaler の使い方と、Scaler が提供する各機能についての紹介をしています。記事では、Amazon EC2 と IDCF Cloud を使って Web サービスを提供する仮想環境の構築を行なっています。最後に、Scaler ユーザ会についての紹介を行なっています。

 複数のパブリッククラウドを跨ぐユースケースについてはよくわかりませんが、プライベートクラウドパブリッククラウドを統一的に扱えるのは非常におもしろいです。また Scaler が、OpenStack や CloudStack といった個々の IaaS クラウドソフトウェアが存在する場合にも成立しており、役割に的に非常にうまいポジションにあると思います。

 

 

・第一特集⑤:それでも Eucalyptus をお勧めした理由

 現在人気が下火(と記事にしている)の Eucalyptus についての非常に短い紹介記事です。Eucapyptus そのものについての紹介と、最近の開発コミュニティ事情についての紹介からはじめ、Eucalyptus のソフトウェアアーキテクチャの概要を解説しています。最後にマスコットキャラクターの紹介をし、みんな使ってねといったメッセージで締めくくっています。

 正直、それでも Eucalyptus を使う理由がよくわかりません。記事では Web UI が使えるとか、果ては可愛いイラストで女性に対して云々みたいな事が書かれていましたが、あんまり本質的じゃない気がします。

 同じような機能が提供されている OSS が複数ある環境で、どれを選択するかを決めるポイントとしては、導入事例、ユーザーコミュニティ・開発コミュニティの活発さ、その後に使いやすさや機能・ソフトウェアの設計といった順じゃないかと思っています。

 取り分けこうした低レイヤなソフトウェアに関しては信頼性が物を言うケースがあるので、導入事例や開発コミュニティが活発かどうかは非常に大切です。また、周りに使っている人間が誰も居ないモノを使うのには勇気が要ります。なので、ユーザコミュニティが活発かどうかというのも重要なポイントでしょう。

 こうしたテーマについてはエリック・レイモンドの著書でも触れられていましたが、実体験からも地道なコミュニティ活動がユーザを作ってゆくのではないかと思っています。

 

 

・第二特集①:ネットワーク高速化とワイヤリング技術解説

 ここではネットワークの物理ケーブルと物理配線について詳細に解説しています。まずザックリとした LAN ケーブルの規格の話から始まり、仮想化に伴う配線形態の変位について解説した後、データセンターなどの比較的大規模なシステム環境における配線を例に、何がどのように使われているのかを解説しています。そして、各物理回線の種類と使用上の注意点について詳細に解説し、最後に物理配線の接続形態について解説しています。

 非常に濃い内容です。私のようなヌルいソフトウェア屋には、あまりにレイヤが低すぎてついて行けません。LAN ケーブルの規格と、それぞの制約くらいの話には辛うじてついて行けますが、他の通信ケーブルやプロトコルの話題には調べながらでないとついていけません。ネットワーク屋さんの真髄を垣間見た気がします。

 

 

・第二特集②:奥が深い LAN ケーブルの構造と配線技術

 ここでは LAN ケーブルの構造と配線についての話になります。まず、LAN ケーブルの種類とそれぞれの回線構造、パルス特定について解説しています。LAN ケーブルの配線についての話では、LAN ケーブルを扱う上での注意事項及び、配線する上での注意事項についていくつか解説してくれています。最後に、LAN ケーブルの作り方と測定について簡単に解説しています。

 IT の中小企業のインフラ担当者必読の内容かもしれません。我らがアリエルでは引越しの度に過労気味のインフラ担当者がこれらの作業を数日かけて、およそ一人でこなします。

 またここでは、専門用語が容赦なくバシバシ登場します。「より」だの「成端」だのと未定義単語が頻出します。成端は熟語の形から端を作ることかと意味が類推できますが(実際はケーブルにコネクタを接続する事を意味するみたいです)、「より」とはなんぞや。と思ったら、私の国語力が弱かっただけみたいです。「よる」とは「撚る」と書いて、中尾彬の首元のくるくるしているマフラーの形を表します。

 

 

・第二特集③:プロに聞く、光ファイバーケーブルの知識と接続

 光ファイバーケーブルの構造・接続方式・接続手順についてのとってもマニアックな話になります。まず、光ファイバの物理構造や種類、そして伝送方式について解説しています。次に、光ファイバーケーブルがどのように接続されるのかといった接続方式について、そして最後に具体的な接続手順について、図解入りで紹介しています。

 話のレベルは物理レベルから、物理ケーブルの内部構造、そしてここではついにケーブルの材料についての話が入ります。正直やりすぎでしょう。ここまで来ると逆におもしろいです。実際の光ファイバーケーブルをほとんど触ったことが無い身としては、コネクタ接続以外の接続方式があるとは知りませんでした。とはいえ、実際の接続作業について図解までしなくてもと思います。他に「ソフトウェア」的な話は無かったのでしょうか。