今月の Software Design : 2013/01 ( その1 )

 年始のエントリで紹介した「 Software Design ( 以下、SD ) の記事を全て読んで要約に感想を添えてブログに掲載する」活動の最初の投稿になります ( 長いので何回かに分けて投稿します ) 。

 SD を最初から最後まで読んでみて気づいたのですが。普段、SD を買う度に「1,380 円は高いなぁ」と思っていたのですが、それは中身をろくすっぽ読んでいなかったからそう感じていただけで、全ての記事を読んでみると 1380 円は値段相応、もしくは十分リーズナブルだと気づきました。

 要約と感想は各記事毎に対して、以下のフォーマットで記載されています(途中で変えるかもしれませんが、しばらくはこの方式で行きます)。

 

・記事のタイトル
 ( 1 行目 ) 記事の要約
 ( 2 行目以降 ) 感想

 

 それでは書いてきます。

 

・弾小飼のコードなエッセイ

 小飼さんの奥さんが買った 2012 年発売のデジカメのフォルムが 60 年近く前から広く知られているカメラと同じなのは変じゃね?っていう内容の記事。

 うん、わかるんですけど。コードどこ行った?

 個人的には、変態 Perler として有名な小飼さんの黒魔法が見れれるのを楽しみにしているのに、そりゃ無いぜと思わせてくれる回かなと。

 

・最新 Web トレンド

 前半は、2012 年の米国大統領選の予測についての話題。政治学者と呼ばれる人達の予測がことごとく外れる中、ネイト・シルバーさんが作ったシステムの予測は、全 50 州のうち 49 州の勝敗を当てたとか。後半は、スマフォから近くの車を呼ぶサービス Uber ( ウーバー ) の話。

 前半のお話について。調べたらネイト・シルバーさん、統計学の専門家でまだ 35 歳なんですね。。。おまけに 10 年前からメジャーリーグの選手評価システムを作って、そいつを 2 年前にどっかの会社に売却するとか。スゴすぎです。

 後半の Uber について。こういう記事を見る度、チラッと脳裏に『こんなんで儲かるのか。自分にもできるんじゃね?』と思ってしまうことがあるんじゃないかと思うんですが。そう思った元気のある若手は、デジタルガレージ等の門戸を叩くといいんじゃないかと思います。

 

・はんだづけカフェなう

 東京で開催された Maker Faire のイベント ( Maker Faire Tokyo 2012 ) のレポート記事。

 数年前はパラレルポートからシグナル拾って遊んだり、H8 マイコンの割り込み触ってキャッキャやってたんですが、最近この手の話題に燃えなくなりました。

 

・ギークハウスなう

 「カキコミ」や「ツイート」という言葉に表されるような、ネット上の評判についての話。個別の批判 ( もしくは肯定 ) に対してイチイチ取り合わないで、インターネットの言語空間は広いんだし、人の価値観は多種多様なんだから、ぼんやりとした批判や肯定があるって認識でいいんじゃない? といったお話。

 面白いテーマですね。インターネットによって情報発信の媒体が事実上無限になったことで、随分前からあれこれ議論になってます。僕はコミュニケーション論とか認知社会学とかソレ系の素養は無いので素人発言を脱しませんが、これについて論じてみようと思います。

 この手の話で問題になるのは、肯定の書き込みやツイートについてよりはむしろ「どのようにして "批判" に対処するか」だと思いますが、一口に批判と言っても色々あります。ここでは批判を次の3つにザックリ分類してみます。

 

 感情的な批判:根拠が主観に基づく批判 ( ex. 彼が嫌いだから彼が書いた記事も嫌い、Vim スクリプトとか気持ち悪い等 )

 政治的な批判:根拠が自身の置かれた立場 ( 利害関係、宗教的理由 ) に基づく批判 ( ex. 会社の利益をもっと社員に還元しろ、農家保証とかありえない、Vim スクリプトとかありえない等 )

 客観的な批判:根拠に客観性がある批判 ( ex. 文章が構造的になっていないのでこのレポートはよろしくない、この企画は損益とリスクが明確じゃないからダメ )

 

 結論を先に言うと、どんなに情報空間が広がろうとも客観的な批判だけを拾ってけばインターネットとうまく付き合えるんじゃないだろうかと思っています。つまり上2つ( "感情的な批判" と "政治的な批判" )は無視するという事。

 ここで注意しなければならないのは、"政治的な批判" を言葉巧みに "客観的な批判" のように見せるようにできる点です。例えば "会社の利益をもっと社員に還元しろ" という批判を "会社の売上は俺達社員が売り上げた結果だ。よって当然俺達に分配されるべきだ!" とすると随分それっぽく聞こえるようになりましたよね(まだツッコミどころが色々とありますが)。

 このように批判のフィルターを設定し、批判の選別 ( 見極め ) がキチンと行えれば、批判的な『カキコミ』や『ツイート』に対して過度に落ち込んだり、激怒したりする事は無くなるんじゃないかと思ってます。

 

・第一特集:いざというときに備えるシステム復旧術

 長いので簡単にまとめると、昔のテープはそれはそれは辛かったという話にはじまり、クラシカルなバックアップ手法の話、Amanda と Zmanda によるニフティクラウドのバックアップ手法の話、そして AWS Storage Gateway によるクラウドへのバックアップの紹介と続きます。そして、HDD の構造のお話とデータ復旧事業者のお話、最後にフラッシュメモリの構造と特性についての話という流れの記事になっています。

 個人的な興味を惹かれたのは5章の "ハードディスクのイロハ" の話です。"耐G" の話、"プチプチ" の話、"電源" の話はとくに面白かったです。普段当たり前に使っているものなんだけれども実は知らない内容に「へー!そうなんだ!」と思わされることの連続で、巻末の最後の節に至るまで非常に面白い内容でした。あと、"Flash ストレージ導入ポイント" の長谷川さんの記事を読んで思ったのが、この人といい世のシニアの方はどうしてこうしっかりした文章が書けてしまうのだろうかと ( 僕も歳をとったらこういう解り易く、読み易いしっかりした文章が書けるのだろうか ) 。