今月の Software Design : 2013/05 (その5)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第5回目です。

 ここ最近の更新頻度が異様に早いです。それもそのはず、今週末には来月号が出てしまうからです。

 ところで、先日自宅に身に覚えのない宅配物が届きました。Amazon マーケットプレイスで何か買ったかなと思いつつ開けてみると、とても自分で買ったモノとは思えない本が入っていました。慌てて宛名を確認しましたがやっぱり僕宛だったので「変だなぁ」と思いつつパラパラめくると、こんなもの(右側)が挟まっていました。

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 そういえば遥か昔に応募した記憶があります。

 Software Design 編集部さん、ありがとうございます。

 ということで、今月も以下のフォーマットで要約と感想を書いてゆきます。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ Android エンジニアからの招待状

 「Android の取り巻く環境とその進化」ということで、Android の歩みと最新状況、そして他のモバイル OS についての紹介という 3 つについての話をしています。Android のこれまでの歩みについては、2007 年 11 月に登場してから、どういった経緯をたどり、スマートフォン市場にどういった影響を与えてきたかといった内容です。最新状況については、昨年 6 月に発表された Android の本体バージョンの JB (Jerry Bean) の SDK について、配布形態と複数画面の同時編集機能について取り上げています。そして他のモバイル OS については、「Firefox OS」「Tizen OS」そして「Ubuntu for phones」について、どんなものでどんな特徴があるかについて簡潔にまとめてくれています。

 

○ レッドハット恵比寿通信

 JBoss の開発コミュニティにおける開発形態についてを紹介しています。記事の中身としては、JBoss の各サブプロジェクトがどういった形態で開発が行われるかについてと、それによって JBoss 自体がどういった変遷をたどってきたかについて簡単に紹介しています。最後に執筆中の JBoss EAP に関する書籍についての紹介をしています。

 JBoss 本体はどうか知りませんが、JBoss の各サブプロジェクトについては、記事を読む限りどうやら開発コミュニティが主体としなって開発を行なっているようです。また開発コミュニティ版と製品版で分けているようですが、このあたりの整合性をどうやって採っているのかはここでは書かれていませんが、気になるところです。

 内容としては、それほど驚くような事は書かれていないですが、個人的に刺さる内容でした。特にコミュニティ開発がどういったスタイルで開発をしているかについては、自分で開発コミュニティを持っているわけでもないのに、(また今更的なとこでもありますが)とても気になります。

 かつては『OSS コミュニティにおける開発スタイルなんてどれも同じだろう』なんて思っていましたが、OSS とは名乗っていながらも実はいろんな思惑でいろんな開発スタイルがあるという事を知りました。

 例えば SoftEther 社の UT-VPN について。表向き OSS を名乗っていますが(ライセンスも GPL2 ですが)、その実メンテナンスはあまりなされていないようです。というのも、SoftEther 社ではこれとは別の商用版(PacketX VPN)の開発に注力しており、優秀なパッチについてはこちらで金銭と交換で引き取るという古風な (?) 形態を採っているようです。

 以前にSoftEhter 社の代表取締役の登さんとお会いした際にこの件伺ったところ「UT-VPN を OSS 化したのはユーザコミュニティを養生するための戦略で、(少なくとも現在は)開発コミュニティを作ってバザールモデルでの開発を行う意図ではない」とのことでした。

 一口に OSS 開発といっても、その開発スタイルは実に多様です。

 

○ Debian Hot Topics

 今月号では「PostgreSQL のパッケージ配布サイトが一時配布元に以降したよ」という内容と、Debian のパッケージングツール "debhelper (dh)" とその記述について紹介しています。後半の dh については、中身の Makefile の記述が大幅に変わったことについて解説しています。

 先月号までは、やや俯瞰的でゆるふわな感じでしたが今月号はフィールドをグッと絞った濃い内容です。

 

○ Ubuntu Monthly Report

 CMIS (Content Management Interoperability Services) について、LibreOffice との連携について紹介しています。具体的には CMIS サーバに Nuxeo を使って、LiberOffice の LibO 経由でドキュメント連携する処理を紹介しています。記事では Nexeo のインストールから起動までの方法について、そして LiberOffice で作成したドキュメントを Nexeo サーバで見れるところまでを紹介しています。

 とても面白い内容ですが、これが面白いと分かるためには (Plone や OpenCMS、最近では WordPress なんかが有名ですが) CMS とはどんなものかという簡単な前提知識が必要になってくるんじゃないかと思います。CMIS とはこいつらの間でコンテンツを相互にやり取りするための規格みたいです。非常に興味深いです。