今月の Software Design : 2013/06 ( その 5 )

 「今月の Software Design 」の 6 月号の投稿の第 5 回目です。

 

○ 開眼シェルスクリプト

 /dev/tcp と Netcat を利用したお手軽 tcp/ip 通信の使い方と、これらを使った軽量なファイル転送処理の方法について紹介しています。また後半では、ssh コマンドを使ってリモートでのコマンド実行をローカルで実行したようにパイプに渡す処理について紹介してくれています。具体的には、ssh コマンドを使ってリモートで実行したコマンドを標準出力で受け、結果をパイプに渡すことで、リモート・ローカル間でシームレスにデータのやり取りが行える手法を紹介しています。

 前半、後半どちらの内容も非常に実践的で面白いです。

 

○ 仮想ネットワークの落とし穴

 昨今話題の SDN と呼ばれているネットワークの仮想化についての記事です。記事では、どういった背景でこれが注目され、何がどう良くなる(と期待されている)のかについてと、SDN の形態とそれぞれの形態を実現するための手法についての紹介をしてくれています。この各種手法の紹介については、ファブリックネットワークにおける ECMP の実現手法と、エンドポイントモデルにおけるトンネリング手法、そして OpenFlow という3回構成で解説をし、初回はファブリックモデルにおいて各ネットワークパスの帯域を効率的に利用する TRILL や SPB について、それぞれどういったもので、どんな問題があるのかについて、わかり易く解説してくれています。

 

○ Debian Hot Topics

 公式パッケージについてのお話です。公式パッケージとはどんなもので、何が嬉しくて、どんな区分があって、どうやって取り入れられるのかという内容になります。公式パッケージとして取り入れられるまでの流れの一連の流れのうち、"ソフトウェアの事前調査" と "コミュニティにリクエストを投げる方法" について、過去の経緯を含めてどうなっているのかという内容を比較的詳しく紹介してくれています。

 非常に興味深い内容です。公式パッケージ化されまでに、どういったプロセスで何が行われ、(パッケージを上げる側として) 何に気をつけるべきかというのがよく分かる内容だと思います。

 

○ Ubuntu Monthly Report

 今年の 2 月に公開されたスマフォ&タブレット向けの Ubuntu Touch の紹介記事です。現在サポートされている Nexus 4 や Nexus 7 などの実デバイスに対するインストール方法と、開発環境の構築、そして自作のアプリをインストールした Ubuntu Touch で動かすといった内容になります。

 興味深いです。Nexus 7 が欲しくなりました。

 

○ RedHat 恵比寿通信

 筆者の小島さんが出会った人たちのおもしろエピソード集のような内容です。内容としては、80 年頃にサンでネットワークファイルシステムの開発を手がける若きエンジニアに日本人社員(先輩)が説教を飛ばし、後にその若者が UNIX 界隈の大物として歴史上の人物になる話。納入した機器の修理のためサウジアラビアに単身派遣され、そこでパフォーマンスを発揮する若手社員の話。ソフトウェアの選択に際して OSS を選択するのが常識になった日の話などになります。

 他にも 2 つほど別の話がありましたが、特に上記の話が非常に面白かったです。最後に紹介されている『ソフトウェア・グラフィティ』が面白そうだったので思わず買ってしまいました。

 それと「先輩」が誰なのかが最後に出てくるのかと思いましたが、結局出て来ませんでした。一体誰なんでしょう。