今月の Software Design : 2013/05 (その6)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第6回目です。

 今回はお馴染み、後ろの方の濃ゆい記事についての要約と感想です。フォーマットはいつも通り以下の通りです。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ Linux カーネル観光ガイド

 GNU/Linux 3.9 に入った新機能のうち Intel PowerClamp とその関連機能について解説しています。まず Intel PowerClamp について解説する前に、APICAPIC によって操作可能な電力状態について解説しています。そして、CPU の電力消費を積極的に抑える Intel PowerClamp について、各種パラメータとそれらによってどのように省電力が行われるかといった仕組みについて解説しています。

 

○ IPv6 化の道も一歩から

 IPv6 でホスト間通信をするための各種機器の設定についてのお話です。具体的には、IPv4IPv6 を併用するデュアルスタック環境を構築するためのルータの設定とホストの設定、そしてルータ・ホスト間の疎通確認と、IPv6 によるインターネット接続の確認について触れています。また、デュアルスタック環境を構築する際における IPv6 設定の注意点についてもごく簡単に紹介しています。

 

○ Monthly News from jus

 jus の勉強会にて、ソーシャルゲーム業界大手のグリーが Jenkins を導入したよという発表について取り上げています。まず Jenkins とは何か、CI とは何かについて簡単に紹介した後、(やや政治的に)上手いこと導入するためにはどうすればいいかや、どういう構成をとれるかといった話を取り上げています。

 いっぽう Trema は Travis を導入した。

 

○ Hack For Japan

 今年の 2 月に世界 34 ヶ国 100 都市で同時開催されたオープンデータに関するカンファレンス「International Open Data Day」についてと、東京開場で当日開催されたハッカソンについてのレポート記事です。まず冒頭で「International Open Data Day」とは何なのかということを紹介し、東京開場ではどんな人が来て、どんな事をやったかについて紹介しています。

 東京開場には経産省の役人やら、財界人、そしてメディアの人間といった人が集まったそうですが、何かの匂いがプンプン漂ってきます。

 以前からこの記事 (Hack For Japan) ではオープンデータについて取り上げていましたが、まさかこんな一大ブーム(それも世界規模なムーブメント)になっているとは知りませんでした。

今月の Software Design : 2013/05 (その5)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第5回目です。

 ここ最近の更新頻度が異様に早いです。それもそのはず、今週末には来月号が出てしまうからです。

 ところで、先日自宅に身に覚えのない宅配物が届きました。Amazon マーケットプレイスで何か買ったかなと思いつつ開けてみると、とても自分で買ったモノとは思えない本が入っていました。慌てて宛名を確認しましたがやっぱり僕宛だったので「変だなぁ」と思いつつパラパラめくると、こんなもの(右側)が挟まっていました。

f:id:user_localhost:20130514193307p:plain

 そういえば遥か昔に応募した記憶があります。

 Software Design 編集部さん、ありがとうございます。

 ということで、今月も以下のフォーマットで要約と感想を書いてゆきます。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ Android エンジニアからの招待状

 「Android の取り巻く環境とその進化」ということで、Android の歩みと最新状況、そして他のモバイル OS についての紹介という 3 つについての話をしています。Android のこれまでの歩みについては、2007 年 11 月に登場してから、どういった経緯をたどり、スマートフォン市場にどういった影響を与えてきたかといった内容です。最新状況については、昨年 6 月に発表された Android の本体バージョンの JB (Jerry Bean) の SDK について、配布形態と複数画面の同時編集機能について取り上げています。そして他のモバイル OS については、「Firefox OS」「Tizen OS」そして「Ubuntu for phones」について、どんなものでどんな特徴があるかについて簡潔にまとめてくれています。

 

○ レッドハット恵比寿通信

 JBoss の開発コミュニティにおける開発形態についてを紹介しています。記事の中身としては、JBoss の各サブプロジェクトがどういった形態で開発が行われるかについてと、それによって JBoss 自体がどういった変遷をたどってきたかについて簡単に紹介しています。最後に執筆中の JBoss EAP に関する書籍についての紹介をしています。

 JBoss 本体はどうか知りませんが、JBoss の各サブプロジェクトについては、記事を読む限りどうやら開発コミュニティが主体としなって開発を行なっているようです。また開発コミュニティ版と製品版で分けているようですが、このあたりの整合性をどうやって採っているのかはここでは書かれていませんが、気になるところです。

 内容としては、それほど驚くような事は書かれていないですが、個人的に刺さる内容でした。特にコミュニティ開発がどういったスタイルで開発をしているかについては、自分で開発コミュニティを持っているわけでもないのに、(また今更的なとこでもありますが)とても気になります。

 かつては『OSS コミュニティにおける開発スタイルなんてどれも同じだろう』なんて思っていましたが、OSS とは名乗っていながらも実はいろんな思惑でいろんな開発スタイルがあるという事を知りました。

 例えば SoftEther 社の UT-VPN について。表向き OSS を名乗っていますが(ライセンスも GPL2 ですが)、その実メンテナンスはあまりなされていないようです。というのも、SoftEther 社ではこれとは別の商用版(PacketX VPN)の開発に注力しており、優秀なパッチについてはこちらで金銭と交換で引き取るという古風な (?) 形態を採っているようです。

 以前にSoftEhter 社の代表取締役の登さんとお会いした際にこの件伺ったところ「UT-VPN を OSS 化したのはユーザコミュニティを養生するための戦略で、(少なくとも現在は)開発コミュニティを作ってバザールモデルでの開発を行う意図ではない」とのことでした。

 一口に OSS 開発といっても、その開発スタイルは実に多様です。

 

○ Debian Hot Topics

 今月号では「PostgreSQL のパッケージ配布サイトが一時配布元に以降したよ」という内容と、Debian のパッケージングツール "debhelper (dh)" とその記述について紹介しています。後半の dh については、中身の Makefile の記述が大幅に変わったことについて解説しています。

 先月号までは、やや俯瞰的でゆるふわな感じでしたが今月号はフィールドをグッと絞った濃い内容です。

 

○ Ubuntu Monthly Report

 CMIS (Content Management Interoperability Services) について、LibreOffice との連携について紹介しています。具体的には CMIS サーバに Nuxeo を使って、LiberOffice の LibO 経由でドキュメント連携する処理を紹介しています。記事では Nexeo のインストールから起動までの方法について、そして LiberOffice で作成したドキュメントを Nexeo サーバで見れるところまでを紹介しています。

 とても面白い内容ですが、これが面白いと分かるためには (Plone や OpenCMS、最近では WordPress なんかが有名ですが) CMS とはどんなものかという簡単な前提知識が必要になってくるんじゃないかと思います。CMIS とはこいつらの間でコンテンツを相互にやり取りするための規格みたいです。非常に興味深いです。

今月の Software Design : 2013/05 (その4)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第4回目です。

 今回は、OpenFlow の話と、今月から始まった iPhone アプリ関連の新連載記事、そしていつもの濃ゆ〜い記事について要約と感想を書きます。

 フォーマットはいつも通り以下の通りです。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ OpenFlow を実装してみた! (バーチャルネットワークコントローラ 2.0 開発の実際)

 NTT データが行う SDN ビジネスを推進する為に開発しているバーチャルネットワークコントローラ 2.0 (VNC 2.0) についての紹介をしています。記事では、VNC 2.0 のアーキテクチャと開発する上で何が難しくて、どうしたのかといった開発裏話的な内容と、VNC 2.0 の機能について紹介しています。VNC 2.0 が提供している機能としては、(記事を読む限り)オーバレイネットワークに対応した L2 仮想ネットワークの構築と、それを GUI から管理するのが目玉のようです。また VNC 2.0 自体、Trema や Floodlight といったフレームワークを利用せず、Java ベースでフルスクラッチしたみたいです。

 VNC 2.0 とはどうやら、通常の OpenFlow コントローラを機能拡張して、記事で書かれているようなネットワーク負荷を考慮した経路計算なんかを支援するフレームワークみたいです。VNC 2.0 を構成する VNC-AP と VNC-NOS のうち VNC-NOS は OpenFlow コントローラそのものですね、VNC-NOS の上位に存在する VNC-AP でいろいろとリッチな処理をして NOS-API と読んでいる Northbound API を通して制御するというアーキテクチャになっているみたいです。

 こういう取り組みは非常に良いと思いますし、中身がどんなもので、どんな事をしているのかキチンと書いてくれているので VNC 2.0 が一体何なのかという事がよく伝わってきます。

 ただ一つ謎なのが、VNC-NOS を Trema 等のフレームワークを使わずにフルスクラッチしたと言っていますが、諸所のフレームワークを使った場合とほとんど同じアーキテクチャにしたのは何故だろうかと。Java でこんなありきたりな設計するんだったら Floodlight 使えばいいじゃんと思ってしまいます(恐らくですが Floodlight の記述が複雑過ぎて使えないと判断したんじゃないでしょうか)。

 

○ プログラム知識ゼロからはじめる iPhone ブックアプリ開発

 今月からスタートした新連載の記事です。初回の副題は「コード0(ゼロ)で写真集アプリを作ろう!」ということで、XcodeGUI 操作だけで作るアプリの作り方を紹介しています。まず MacPC 選びからはじまり、Xcode のダウンロードと起動、そしてビューの作成や画面遷移などの簡単なロジック組みを GUI で行う方法を紹介しています。

 面白いです。記事にもある通り、プログラミングを全くした事がない初心者向け記事ですが、学びがある良い内容だと思います。例えば、写真集アプリという事で画像ファイルを表示させる際、全画面の白紙画像を生成して、縮小した画像ファイルを貼り付け、画面遷移ロジックを施すといった処理を繰り返すといった、とても原始的な事をやっていますがこれがいいです。初心者向け記事だというのに、変にファイラーを起動して云々といった事をやってカッコつけたくなるところ、敢えて原始的なやり方をさせる所が流石です。

 ところでこれを読んでふと思ったのですが、似たような光景を10年以上前にどこかで見た記憶があります。そこにはメッシュ状ウィンドウの画面にマウスポインタがチョコンと鎮座していて、こいつをグリグリいじってやることで、ウィンドウが出来てボタンがくっつき、ラベルが貼られて・・・といった感じで GUI アプリが完成します。かの有名な Visual Basic です。当時はエンジニア連中に非常にバカにされていたように記憶しているのですが、Xcode はどうなんでしょうか。

 

○ ハイパーバイザの作り方

 前回はユーザランドのプログラム処理の話で、ゲスト OS をメモリに乗っけて、諸所のデータ構造を初期化するとこまでの処理をしたところらへんまでの話だったと思います。今回は、起動したゲスト OS がデバイスアクセスをする等でハイパーバイザに処理が移り、ゲスト OS に処理が戻る処理についてコードを用いて説明してくれています。

 いつも通り syuu さんの記事は濃いです。いつも「Linux カーネル観光ガイド」を書かれている青田さん、そして今月号の第二特集の第四章を書かれた新家さんも相当濃い内容を書かれていますが、syuu さんの記事は更に濃いです(「温故知新 IT むかしばなし」も別の意味で濃いですが)。

 今月号の内容については『GNU/Linux でいうところの、コンテキストスイッチからユーザプログラムを復帰させる処理っぽいな〜』くらいな印象でしたが、恐らく記事で書かれている 4 割も理解できるか怪しい感じです。とりあえず、ゲスト OS が何か ioctl 呼び出したら VMExit が vmm.ko に飛んできて、VMEntry で処理を返すという仕組みだけ把握しました。

 

○ 開眼シェルスクリプト

 諸所の事情から awk を倦厭する読者に向けて、どんな入力に対しても「何かよくわからないけど awk で乗りきれる!」という自信がつくまでの間にそびえる壁を超えるための学習のヒントを紹介しています。記事では、この壁を超えるための演習として4つの(ありがちな)問題を設定しており、それぞれの問題を解くためのオーソドックスなパターンからトリッキーなパターンに至るまで、それぞれの問題を解く awk スクリプトについて解説してくれています。

 今月も awk ですが、これまでとは趣を異にしています。これまでは『こんな面白い事が awk で簡単にできちゃうぜ!』といったように処理自体に注目させて、その処理の解説の中で awk のテクニカルな話を織り交ぜるといった感じでした。対して今月号は、awk 処理自体にスポットを当てて『awk はこんな事をこんな感じに(簡単に)書けちゃうぜ!』といった感じで、より原理的な内容です。

今月の Software Design : 2013/05 (その3)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第3回目です。

 今回は第二特集の「正規表現をマスターしていますか?」についての要約と感想です。

 それでは以下のフォーマットで書いてゆきます。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ 第二特集:(第二章) 正規表現の落とし穴

 正規表現を使っていて『何故かうまくマッチしてくれない』といったケースについて、代表的なものを紹介してくれています。具体的には、メタキャラクタ "*" をワイルドカードのそれと思って使ってしまっているケースについてと、シェルがメタキャラクタを解釈してしまうケース、エスケープ文字がごちゃごちゃ入ってくる状況で、正しくエスケープが行われていないケース、vi/vim のグループ化のメタキャラクタを例に、コマンドによってメタキャラクタが違うケース、そして任意文字を指定するメタキャラクタ "[]" において、範囲指定が正しく行われいないケースについて紹介しています。

 

○ 第二特集:(第三章) プログラミングでも威力を発揮する正規表現

 プログラムで正規表現を使うケースについて、JavaScript を例に解説しています。まず JavaScript における正規表現を使うためのシンタックスについてと、Perl 互換の正規表現 (PCRE: Perl Compatible Regular Expressions) を使うプログラミング言語との違いについて、そして最後に正規表現を使って任意の xml の入力を解析してタグだけ抽出するプログラムを作って、それを紹介しています。

 これまで第一章、第二章、そして第三章の前半とスマートな感じで来たので、最後のタグ抽出プログラムの力技感がハンパないです。例えるならば、のび太とジャイアンがケンカをして、ボコボコにされながらも辛くもジャイアンに勝利して『ほら勝ったぜ』と得意げに言われた時のあの感じです。

 

○ 第二特集:(第四章) 正規表現エンジンの種類としくみ

 正規表現エンジンの仕組みと特性について解説しています。具体的には、正規表現を決定生有限オートマトンに変換して、入力文字列をそこに通して判定する "DFA 型" と、正規表現を命令列に模してプログラムのシュミレーションの要領で入力文字を解釈して判定する "VM 型" について、それらの仕組みと特徴、そして両者の性能特性について解説してくれています。

 凄まじい記事です。書き手の素養とユーモアを感じる書き方で、その上内容も非常に濃く、読みごたえが抜群です。

 たった10ページの内容ですが、何がどうしてそうなるのか、何がダメで何が良いのかがわかり易く伝わってくる非常に参考になる記事です。

今月の Software Design : 2013/05 (その2)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第2回目です。

 今回は第一特集の「IT 業界ビギナーのためのオススメ書籍55冊 + α」についての要約と感想です。

 先に感想を言ってしまうと(この特集を読んで4冊も紹介されている本を買っておいてこんな事を言うのも何ですが)、あまりために「ならない」印象です(特に後半)。

 前半(Part1)はみなさん真面目に書いてくれているんですけど、後半 (Part2) があまりに酷い内容です。

 あんまり酷い酷い言っていると技評から怒られそうですが、別に誰に頼まれてやっているわけでもないし、自腹で買った Software Design を読んだ上での率直な感想なので仕方ありません。

 というわけで今回もいつも通り、以下のフォーマットで書いてゆきます。

 

○ 記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ 第一特集:(Part1) IT業界ビギナーのためのお勧め書籍55冊 + α

 IT 業界の様々な業種の人間が「IT 業界で生きる人間だったらコレ読んどけ」的な事を書いた記事です。古典や定番中の定番といった書籍を取り上げている人もいますが、(「IT 業界ビギナーのための」と言っているからか)比較的最近の書籍を取り上げる人が多いです。けっこう長いので、以下の感想で気になった内容について拾ってゆきます。

 谷口さんが紹介されている『UNISYS の技報』はすごく気になりました。見てみると、解説記事のまとめみたいで非常に面白いです。敷居は高いですが、継続的にインプットできたら基礎体力がつきそうです。

 一世を風靡した新書『おもてなしの経営学』の著者の中島さん。相変わらず文書がめちゃうまです。記事ではドラッガーの著書を推しています。非常に購買意欲を誘う紹介文と手頃な値段と相まって思わず買ってしまいそうです。そんな中島さんが文書作成に関して、理系の大学を出ていれば知らない人はまずいない名著、木下是雄の「理科系の文書作成術」を紹介しています。この本についての紹介は、僕より中島さんの紹介の方が伝わると思いますが、自戒を込めて一言だけ言うと、年に1回くらいのペースで読みなおす価値のある(読みなおすべき)1冊だと思っています。

 湯本さんが紹介されている『楽々 ERD レッスン』という本は初めて知りました。面白そうだったのでつい買ってしまいましたがまだ読んでいません。

 池田さんが紹介されている『情報法入門』は興味深いです。記事では 2008 年出版となっていますが、第二版の出版は 2011 年です。法律は技術の入れ替わりと同じように、常に法改正が繰り返される世界だと聞きます。それに対して本書は昨年改正された新著作権法にも対応した内容となっているようで、今が旬の良書という事で思わず買ってしまいました。

 西沢さんはタネンバウム先生の著書『分散システム 第二版』と『コンピュータネットワーク 第四版』を "歴史書" として紹介しています。確かに僕も multics については、タネンバウム先生が minix について書かれた著書『オペレーティングシステム』で学びました。そんなわけで歴史について学ぶならタネンバウム先生の書籍が良いのかも知れません。ちなみに『コンピュータネットワーク』については、(英語版ですが)第5版が既に出版されているみたいです。

 『計算機プログラムの構造と解釈(通称、魔術師本)』についての柏野さんの紹介文に爆笑しました。

 首藤先生の冒頭に書かれたファッションショーの一節は面白いです。この特集をある側面から深く突き刺してえぐる内容で、これを読んで1ページ前に書かれた内容を読み返すと別の穿った見方で見えてきます。本文ではドナルド・ゴースの『ライト、ついてますか』を紹介しています。紹介文からは内容はあまり伝わって来ませんが、面白そうな本だという事は伝わってきます。先日別の人にもこの本を紹介され、これを機に買って読もうと思います。

 

○ 第一特集:(Part2) IT 業界副読本 -読まずに入れるか!? IT 業界-

 IT 業界で技術系以外で抑えておくための本として、日本のアニメ、コミック、ゲーム、そしてライトノベル等を紹介しています。ザックリと要約すると、プレゼンのネタスライドや話のつかみ、そして職場になれるために、昨今話題のアニメや往年のガンダムネタを交えましょう。そのための素養づくりの為に、見ましょうねという内容です。

 Part2 の内容はちょっと常軌を逸している感があります。。個人の趣味趣向を「これはエンジニアにとって『抑えておくべき』モノだ」と正当化するだけならいざしらず、「だからこんぐらい知っておけ!!!」という押し付けがましい内容には我慢なりません。

 さくらインターネット社長、田中邦裕さんの『とある魔術の禁書目録』によってタイトルロゴが見栄えし、また『侵略!イカ娘』の語尾を「〜ゲソ」とする "イカ語" をまねることでプレゼン資料は華やかになり、いい感じにウケるなどという内容には絶句しました。『魔法少女まどか☆ マギカ』の箇所に至っては、何故エンジニアにオススメなのか紹介文からさっぱり伝わってきません。

 これらのコンテンツにケチをつける気は全くありませんが、エンジニアにとってここで紹介されているアニメやゲーム以上に、職場に早く慣れるため、エンジニアとしての素養をつける意味で抑えておくべき本はあると思っています。

 その役割を十分に担えるものの例が "古典" です。

 例えば、最近アジャイルスクラムといった開発スタイルが流行っているようですが、そういったソフトウェア開発モデルは現在まで試行錯誤している状況です。これまで何に苦しみ、失敗してきたのか、そしてどういった経験則があるのかといった事柄を知らなければ、チームのマネージャーが何に苦闘をしているのかといった事も恐らくわからないのではないでしょうか。そのために『人月の神話』や『ピープルウェア』といった古典から学ぶというのも大切だという主張です。

 若手とは思えない程オヤジ臭い事言っていますが、アニメやゲームで消費活動をするよりもよっぽど効果的な時間の使い方じゃないでしょうか。

今月の Software Design : 2013/05 (その1)

 「今月の Software Design 」の5月号の投稿の第1回目です。

 今月号から新連載された記事が盛りだくさんです。今回は、今月から連載がスタートした「自宅ラックのススメ」「enchant」そして「偏愛キーボード図鑑」と、いつもの「はんだづけカフェなう」の要約と感想を書きます。

 フォーマットはいつも通り、以下の通り書いてゆきます。

 

・記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ 自宅ラックのススメ

 自宅にサーバラックを設置して運用(通称「自宅ラック」)する人が、自宅ラックについて紹介する新連載記事です。初回は、著者の tomocha さんの自宅ラック部屋の写真入りで、何故自宅ラックに走ったか、自宅サーバには何がお勧めで、サーバサイズの規格についての注意について書いています。

 こういう事をやっている人が居るというのは、噂では聞いていましたが、実際の様子を見たことは無かったのでちょっと驚きです。

 

○ enchant

 9leap でお馴染みの enchant.js に関する新連載です。初回の記事では、enchant.js のアイデアが生まれた時の話からはじまり、プログラミングが特定の一部の人間だけがするものではなく、幅広い層の人間がコンテンツ製作に携わることが出来る「道具」と、ニコニコ動画のようなストリートパフォーマーを養生する「場」によって、めちゃオモロいモノが出来るぞというお話。

 この記事を書かれたユビキタスエンターテイメント社長の清水さんは個人的に尊敬している人の一人です。4 年くらい前に清水さんが IPA 未踏関連のイベントで話した、かつて(会社を立ち上げて間もない頃に)高待遇で Google に誘われた事があったがそれを断ったお話が印象的で、今でもよく覚えています。

 一言で言うと『Google での仕事は誰でも出来るけど、イマの俺の仕事は俺しか出来ない!』というお話でした。

 カッコ良すぎです。と同時に非常に考えさせられる言葉です(世の人間の一体どれほどがこのセリフを言えるのだろうかと、そして自分は果たしてどうなのだろうかと)。

 

○ 偏愛キーボード図鑑

 筆者が持っているキーボードについてイロイロ紹介するという新連載です。初回記事では、TypeMatrix キーボードと、Dvorak 配列や Colemak 配列といったキー配列についての紹介をしています。

 

○ はんだづけカフェなう

 Raspberry Pi から焦電型赤外線センサモジュール NaPiOn を使って赤外線センサーカメラを作る方法について解説しています。

 『自宅ラックのススメ』を読み、Raspberry Pi でデスクラックとかいう糞みたいなアイデアを思いつて調べてみると、こんな記事 を見つけました。

 40 万円弱でメモリ 1 TB のクラスタマシンとか、ちょっと欲しくなってしまいます(もしかしたら夏のボーナスとかで買っちゃうかもしれません)。

今月の Software Design : 2013/04 (その5)

 「今月の Software Design 」の4月号の投稿の最終回です。

 遂に5月に入ってしまいました。5月号はなるべく早くに読み終えたいと思います。

 それでは今月も以下のフォーマットで書いてゆきます。

 

・記事のタイトル
( 1 行目 ) 記事の要約
( 2 行目以降 ) 感想

 

○ Linux カーネル観光ガイド

 OSS 奨励賞を受賞した青田さんによる perf コマンドの解説記事。記事では、perf コマンドによって行うパフォーマンス計測を行う CPU 機能 (PMU : Performance Monitoring Unit) の説明と、各種パフォーマンス計測情報にアクセスするための2つの CPU 命令(rdmsr 命令と rdpmc 命令)についての解説、そしてこれらを利用してパフォーマンス計測を行う perf コマンドとコマンドの使い方について解説しています。

 

○ IPv6 化の道も一歩から

 IPv6 ネットワーク構築手順についての手法についてのごくごく基本的な部分の触りの部分のお話です。中身は、サブネット内における IPv6 アドレスをどうやって管理するかというお話と、IPv6 の肝の NDP の基本動作といった簡単な説明を通して、IPv6 アドレスの自動設定について簡単に解説してくれています。最後に、IPv6 対応 OS と対応機材を購入して動作を確認してみましょうというお話です。

 ようやく IPv6 の具体的な話に入って来ました。ただ NDP について比較的詳しく解説してくれていますが、全体的に見て6ページと文量が多い割にそれほど多くの事は書かれていない印象です。個人的には、デュアルスタックやトンネリングを実現させるための、具体的な手法を詳しく解説してほしいのですが、これまでの4回は背景説明といった話が主だったので次回以降に期待です。

 

○ Monthly News from jus

 昨年12月に福岡と浜松で開催された jus 研究会のレポート記事。福岡大会では 30 代女性の労働者率が、20 代女性や 40 代女性と比べて低いといった問題にたいする改善案についていろいろと話し合われたみたいです。浜松大会では、ヤマハの牧野さんによるネットワークの見える化についてのお話について書いてあります。

 福岡大会の女性労働者の人口問題では、ありがちな男性と比べて女性云々といった話ではなく、30 代女性が、20 代女性や 40 代女性と比べて少ないといった切り口なのが渋いです。

 

○ Hack For Japan

 Developers Summit 2013 に出店した Hack For Japan チームのレポート記事。主に OpenData に関する取り組みとそのフィードバック、そしてこれまでの Hack For Japan の活動の振り返りについて取り上げています。OpenData については、昨年 12 月に設置された瀬電子行政 OpenData 実務者会議や経産省が設置した OpenData METI (http://datameti.go.jp/) など、政府や自治体も積極的に公共データを公開しており、現在は OpenData を活用してよりよいアプリを生み出すムーブメントがおきているといっています。その上で、どのように OpenData を活用するかについて行ったパネルディスカッションを取り上げています。Hack For Japan の振り返りについては、 3.11 以降行なってきた Hack For Japan の活動内容の反省と今後どうしていきたいかについて話した内容を取り上げています。

 

○ 温故知新 IT むかしばなし

 日本で(意外に)よく使われている Prolog についての紹介をしています。具体的には、Prolog がどんなもので、どんな特性の言語なのかといった紹介をし、Progolo の並列計算についてディープな話をしています。

 

○ Inside View

 CyberAgent のアメーバピグのインフラ運用周りの与太話。具体的にはサーバが駆動系と待機系の2系統で待機系が通常停止している状態で稼働系が止まった時に稼働する形でサポートしてますよというお話と、アメーバピグアーキテクチャを変更するのは大変だったよというお話。

 具体的に何を使っているとか、何がどう大変とかといった内容が全く無いので、技術的な読み物としてのバリューは無いです。